プロローグ

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スイがその本を取り出したのは全員が集まった時だった。 キィと共に帰路に着き、買い物中だったアスカとユズに出 会い、そして帰ればテオとエアルが待っていた。 キィと二人の時に開かなかったのは、単に皆と見たいから だけなのだろうか。 無意識のうちに頼りたい気持ちが働いていたのかもしれな い。 はたまた、キィを傷付けたくないからなのか。 鍵の付いた本というのは興味心をくすぐると共に、どこか 物語的な不安が付きまとっていた。 「どうしたいんだよ、スイ」 テオは悪戯な笑みを浮かべて問う。 スイから出される答えは予想出来ているようだ。 「開けたいけど、鍵がない」 「俺が斬ろうか?」 「だ、ダメだ! テオがやったら本まで斬れちまうだろ!」 背負っている大太刀の柄に手を添えて言うテオを制したス イは自らの腰を見て、 「今は持ってないからな」 と零す。 スイはキィと二人になる時はいつも装着している双剣を外 すように心掛けていた。 それはキィに不快感を与えないためであり、武器に反応し て襲ってくる輩から身を守るためでもあった。
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