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天気予報というものはあくまで予報の域を出ない。
朝、天気予報士がそれこそ晴々しく笑いながら「本日は晴れ」と言っていたにも関わらず、外には雨が降り注いでいた。
天気予報を何の疑いもなく信じていた東川弘は当然、傘を持っていなかった。
「最悪だな」
そう呟き、その次に深い溜め息を吐いた。
古典の講義を終え、さて帰ろうと思い出口へ向かえば、外は既に大雨であった。
講義を受ける部屋からは外の景色が全く見えなかったため、弘からすれば僅か一時間の間で天気が豹変していた。
あの清々しかった青空は消え去り、代わりに灰色の雲が一面を覆っていた。
今日で何日連続の雨だろう。
ここ4日ほど天気の悪い日が続き、ようやく日差しが見えたかと思えばこの雨である。
梅雨の時期とはいえ、こうも雨が降ってばかりでは気が滅入る。
憂鬱になるのも無理はない。
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