プロローグ

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キィが目を覚ましたのは、それからすぐのことだった。 混乱するキィを落ち着かせるために、ユズが心配するなと笑いかける。 スイもなるべく近場にいるように努めていた。 そんなときだった。 お!と額に手をかざしてアスカが木の上から声をあげた。 何事かと、一時三人に緊張が走る。 しかし、アスカの落ち着いた様子を見る限り、何も危険が迫っているわけではないようだ。 アスカが口に手をあてがい、ユズ達に向かって声をかけた。 「姉御!二人が帰ってきました!」 アスカの向いていた方向へと顔を向ける。確かに二つの人影がここからでも見てとれた。 アスカの目の良さを信じる限り、間違いはないようだ。 「ああ。わかった。降りてこいアスカ」 アスカはユズの言葉に従い、するすると器用に木から降りてきた。
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