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「──…猿みたいだな。アスカって」
その姿を見てスイがぼそりと呟くと、隣にいたキィがはっとした顔でスイを見た。
「あ!私も思ってた。いっちゃ悪いけど似てるよね」
「うるさいとことかもな」
「──…アスカ猿?」
「…くっ」
二人の会話を聞いていたのか。
ユズが微かに肩を震わせている。
キィの言葉に笑いを誘われたのか。
その言葉が交わされた直後、アスカが三人のもとに駆け寄ってきた。
「戻って参りました!──…何を笑われているのですか?」
「いや。なんでもない」
ユズは一瞬でその笑いを圧し殺した。その後ろで、再びキィがポツリと言った。
「──…アスカ猿」
「ぷっ」
不意打ちだったのか。
ユズが腹を押さえて、顔を下に向けた。
盛大には笑っていないものの、肩を揺らして笑いを噛み殺している。
一方のアスカは、意味が理解出来ていないのか、ポカンとした表情で立ち尽くしていた。
「あ、あす、アスカ猿?ど、どういう意味ですかそれ!」
「え、ご、ごめん。思わず…」
「思わず!?」
「いや、アスカは猿に似てるよな、って話しててよ」
「スイ!貴様!拙者を愚弄する気か!」
「似てるもんは仕方ねえじゃん」
「黙れチビ!踏み潰すぞ!」
「んなちっちゃくねえ!」
「黙れ二人とも」
その場はユズの一喝で収まった。が、アスカは歯軋りしてスイを睨み付けた。
負けじとスイも睨み返す。
テオとエアルが帰ってきたのは、そんな中だった。
───by Kino
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