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†††
目を覚ましたスイはキョロキョロと辺りを見渡した。
そこはファイヴァル国でもなければ、日本でもない見覚えのない地だった。
道路の舗装がされていないところから、よっぽどの田舎なのか、はたまた発展途上の国なのか。
何より不可解なのは、さっきまでいた場所からなぜ移動しているのかということだ。
確実に言えるのは、例の本のせいであるということ。
「──…痛ぅ」
頭を打ったのかズキズキする。
最後の記憶は、ユズがキィに覆い被さるように庇っていたことだ。
キィに危険が及ばないようにと帰ってから本を取り出したのはいいが、結局巻き添えにしているじゃないかと頭を抱える。
その時
「やっと起きたか、スイ」
そう声をかけられ後ろを向くと、キィを膝の上に寝かせているユズがいた。
キィは穏やかに眠っているようだ。
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