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「ユズ!? き、キィは!?」
慌てて立ち上がるスイに鼻で笑ったユズはキィの頭を撫でながら、心配はいらん、と答える。
「因みにカトライト、エアルはとっくの前に起きて情報集めに行ったぞ」
そうか、結局全員を巻き込んでしまったのか。
スイは俯き、何故あんなものをもらったのかという後悔に襲われる。
「そして、一番最初に起きていたのはアスカだ。木に登って辺りを警戒している」
そう言って近くの背の高い木を指差すユズの視線を辿ると、しきりに首を回すアスカがいた。
「スイてめぇ、覚えとけよ、こんなところに! キィ殿に何かあればどうなるかわかってんのか……」
「まぁキィは大丈夫だろう、こんな程度でお前を嫌ったりするような奴じゃないさ」
警戒を続けながらも文句を叫び続けるアスカを無視して言ったユズの言葉にスイは顔を上げる。
それを見てニヤリと笑ったユズは、
「だが、まだまだ半人前のお前にゃキィはやれんなぁ」
「う、うるさい! 誰がッ……」
いつものように自分の心中を隠す為に逆らってやろうと思ったがすんでのところで飲み込む。
逆らえばキィのことを否定してしまうからだ。
ユズに逆らうことは出来ない。
「……き、気を付ける」
フフッと笑ったユズは再び木を見上げると、
「アスカうるさい! 要約しろ!」
「奈兎流に会えなくなり申した!」
「帰れば会える!」
「御意!」
─── by 雷電
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