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--9.謝罪--
翌日。
今までで1番最悪の目覚めの悪さだった。
朝起きて,メールを確認すると何故か逢沢からメールがあったからである。
しかも内容は家の前にいるから,
一緒に行こうという誘いだった。
最悪だ…十中八九,アドレスを教えたのは花月だろう。
何を考えているんだこの男は。
てか家は何処で知ったんだよ彼奴。
それも花月が教えたんだろうけど。
付き合って欲しいからって其処までするか?
小窓から入口付近を確認すると,
逢沢らしき少年の姿があった。
風に黒髪がなびいている。
此奴,黙ってたらイケメンなのに喋ったらかなり残念。
まさかホモとは思わないだろ誰も。
人って見かけで判断したら駄目なんだなって改めて学習したわ。
どうしよう,待ってるよ彼奴。
だらしなく,髪が乱れて服も着替えていない。
どうしても一緒に行きたいんだろうか。
俺は携帯を取り出して,返信した。
"俺,まだ着替えてもないから先行ってて"と。
するとすぐに返信がきた。
御前はロボットか,早過ぎだろ。
"俺,待ってるから"
いやいやいやいや,なんで?
俺は急いで支度をする。
一緒に行くと決めたわけじゃない。
寧ろ行かない。
裏口から出よう。
きっとバレない,彼処目立たないし。
髪を整え,制服に着替え,惣菜パンをひとつ持って裏口から出る。
「おはよう,佐藤。
何時まで待たせる気だ?」
は?
御前が勝手に待ってたんだろ?
「な,なんで此処が…?」
「佐藤が素直に俺と行くとは思わないし,
だから此方に周ったんだ」
な,成る程…って勝手に人ん家捜索すんな!!!!
阿呆かよ彼奴は。
そんなに俺と行きたいかよ。
「あ…俺まだ気分悪かったから寝るわ」
急に目眩がして,気分が悪くなり
彼にそう告げると,
「佐藤」
急に名前を呼ばれた。
「はい」
「昨日はすまなかった」
謝られたが何の事かさっぱり分からない。
彼は話を続けた。
「昨日の事は忘れてくれ。
それだけは言っておきたかった」
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