prologue

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見てろよもう会うこともないだろうけど、風の便りに聞きやがれ!! バカバカ、能無し、最低男!! 15の夏を砂浜に埋めた。 君との短い夏をあの砂浜に。 深く深く、もう二度と掘り出せないほど深く穴を掘って埋めたんだ。 初めてつないだ手の感触。 二人全力で駆け抜けた波打ち際の風の音。 最初の恋のお葬式、ちゃんと自分で出せたんだ。 決めている。 でも決めているの。 君がくれた嘘も傷も涙も、きっとあたしの糧(かて)になる。 君はあたしを押さえ込んだ。 地面にめりこむほど強く深く。 でもバネだ。あたしはバネ。強力なバネ。 君の手が離れた今、あたしは絶対に飛び出してやる。 いままでになかったほど、高く強く。 晴れ渡った空の、見たことのない高みまで。 見てろよもう会うこともないだろうけど、風の便りに聞きやがれ!! あいつはいい女になったってさ!! 押さえ込んでくれてありがとう。 そう絶対、あたしは高く。 高く強く。 晴れ渡った空の、見たことのない高みまで。 高く、高く、遥か果てまで高く、高く、高く、高く、ずーっと高く……。
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