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ハラハラと落ちてゆく髪は窓から入る月光で黒く煌めく。
前に向けていた顔を右に捻る。吸血鬼独特の紅い瞳が後ろにいた加害者を捉える。
ウェーブが掛かったブロンドの髪に、鋭くこちらを睨む碧い瞳。男性だった。
右手には一丁の銃。銃口からは煙が上がり、今でも撃った証拠を残している。
左手には長いロウソク立て。一本の鉄の棒が途中3つに枝分かれし、その先の火は青く怪しく光っている。
「ハズレね………」
「外してもらったと言え“化け物”」
ボソッと小さく言った言葉を彼が拾う。
「貴様、吸血鬼だろう」
「ならどうするの……」
この際自分が混血種と言うことは省いた。どの道吸血鬼の血が流れていることに変わりないから。
「決まっている……」
男は左手のロウソク立てを投げ捨てた。火は消え、男もまた月光に頼る身となった。
「貴様を殺す!!この館ごと消えるがいい!!」
銃を両手で持ち、男の方は戦闘態勢に入ったようだ。
放たれた数発の銃弾を必要最低限の動きで避ける。戦闘の経験がある訳ではなかった。当たったら痛いから、只それだけの理由で身を動かした。
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