12人が本棚に入れています
本棚に追加
今まで回避行動しか取っていなかったカナンが動いた。腰を低くし、素早い動きで男に迫る。
男も彼女の動く一歩先を予想し迎撃したが、カナンはその銃撃よりも速く詰め寄る。銃撃より速く動くなど、並みの人間には不可能。だが、常人では如何に努力しても得ることの出来ない力がそれを可能にする。
カナンが近づくに連れて、男の表情は青に染まっていく。無理もない。吸血鬼を殺し続けていた彼でも、未だかつて見たこともない動きをする奴が、今目の前で自分を殺しに来ているのだから。
男が心の中に生まれる恐怖を感じ取る間などは勿論無く、気がつけば懐にある少女の顔。距離を取る暇はなく、彼女の刀が銃を一閃。銃身が歪み、両断された片側がずり落ちる。
最初のコメントを投稿しよう!