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「おい!待てや佐橋光太!」
と、不意に後ろから声を掛けられた金髪の少年『佐橋光太』と呼ばれた男は面倒臭そうに振り向いた。
「なんだよ?駅なら、ここを真っ直ぐ突き当たりまで進んで右に曲がれば、あるぞ」
「誰が道を尋ねたんだコラァ!舐めてんじゃねぇぞ佐橋!」
「はぁ……」
更に深い溜め息を吐いてから直ぐに光太は顔の表情を一変させる。
「じゃあ何だよゴミ!用が、あるならさっさと言えやコラァ!」
余りの迫力に絡んだ男は思わず一歩、後退ったが何とか踏みとどまり言い返す。
「用ならあるに決まってんだろ!てめぇ昨日、なにしたか……がはっ!」
男が、まだ喋ってる途中なのにも関わらず光太は容赦なく顔面を殴り付けた。そして倒れる男を見下ろし、睨み付け言った。
「お前、話し長いんだよ!簡単簡潔に言えよ?俺に殴られに来ましたってな!……って、聞いてねぇか」
一発で不意打ちとはいえ気絶させた光太は手首を揉み、マッサージしながら気絶したままの男を置き去りに、その場を離れた。
そして、少し歩いた所で今度は制服を来た女子高生に声を掛けられた光太。
「あ、あの佐橋君ですよね?」
その声に振り向いた光太は、見たが知らない顔だった為に表情を強張らせながら。
「誰だ、お前。なんか用か?」と冷たい言い方で返した。
女の子は顔を真っ赤に恥ずかしそうにしながら、それでも勇気を振り絞って声を大にして叫んだ。
「わ、私……佐橋君の事が一目見た時から……」
「俺は、お前を一目見た時からタイプじゃないから無理だわ」
告白さえ最後まで、させずに容赦なく光太は冷たい言葉を浴びせフッた上に睨み付ける。
「ひ、酷い!うわぁ~ん!」
最低なフラれ方をした女の子は目に涙を浮かべ走り去る。その背中を見ながら光太は、また深い溜め息を吐いた。
「はぁ……マジでダルいわ。此処んとこ毎日だな」
それが日常でもあるかの様に光太が、そう吐き捨てた瞬間。後ろから、また不意に声を掛けられた。
「おい!そこの、お前!」
(また女か……今日は本当に多いな。チッ!面倒臭せぇ!)
と、思いながら振り向いた光太は――――絶句した。
何故なら後ろにはムスッとした顔だが、まるで天使の様な美少女が立っていたからである。
(だ、誰だこいつ!すげぇ可愛いぞ!こんな美少女見た事がねぇ!)
と、舞い上がってた事はバレない様に光太はクールに返す。
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