弐ノ章

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  通りゃんせ 通りゃんせ ここは冥府の細通じゃ 鬼神さまの細道じゃ ちょっと通して下しゃんせ 贄のないもの通しゃせぬ この子の七つのお祝いに お札を納めにまいります 行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ…… 人とは、恋い焦がれ、人を求める。 人とは、人を愛し、人を憎む。 愛の中の憎悪。 憎悪の中の愛。 怨念。 強い怨念は人を狂わせ、心には鬼が生まれる。 これは、嫉妬に狂った哀れな男の魂、 ――怨鬼の、お話。  
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