第一章

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 私の言葉に二人顔を見合わせて、代表して彼が、「それは」と答える。 「――夜、だからね」  彼女が気を利かせて部屋の窓を開けると、確かにそこには鉛色の空がみえた。  本当に長い間眠ってたんだ。  違和感の正体は壊れかけの体内時計が緩やかに解説してくれる。  ゆっくり、じっくり。  今が夜だと理解すると合わなかったパズルのピースが綺麗にはまったかのような気持ちになった――いや、ようやく彼等と同じ時間に存在できた――うん、そんな感じだ。  そっちの方がいい。
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