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明らかに五十口径レベルの拳銃の先から昇る硝煙。 そして俺の頬を伝う一滴の血……それが、俺へ恐怖を植え付けるのにそう時間は掛からなかった
「ど、どどど何処から出しやがったんだよそれぇっ!?」
「拳銃の一丁や二丁、異次元から取り出すのなんて私に掛かれば雑作もねーんです。 さて薫さん? 先に言っておきますがねぇ?」
ガヴリエルは鈴の様な可愛らしい声のまま、顔に満面の笑みを浮かべたまま、しかしその目は笑っていないという恐ろしい表情で、俺の額にピタリと拳銃の先を突き付ける
「私が本気出せば、貴方なんか輪廻の輪から叩きだす事だって、やろうと思えば出来るんです。 つまり貴方の様なちっぽけな存在など、丸めたちり紙を捨てる様に消し去れる事を……お 忘 れ な く 」
「~~~~~~ッ!」
眼がマジだ……今、絶対にこいつに逆らおうもんなら容赦なく、こいつは引き金を引くだろう
冷や汗が止まらない。 こいつなら、本当にやりかねねぇから
「さぁ、もう一度聞きますよ? 薫さん。 貴方、悪いんですが私と異世界に行ってくれません?勿論奴隷として……ね」
ゴリッと、額に突き付けられた拳銃が更に俺の額に押し付けられる
畜生……何がもう一度聞きますよだ。 選択肢なんてありゃしねぇじゃねぇか!
俺は歯痒い気持ちで一杯になるが、仕方なく頷く
「…………わ、分かった……着いていくから。 だ、だから撃つな」
「お願いしますはぁ?」
「~~ッ! お、お願いしますッ!」
「……クスッ。 よろしい」
お願いしますを聞けて満足したのか、ガヴリエルは拳銃をくるくると指で回しながら、見た目相応の笑みを浮かべた
「いやぁ、やっぱり堪りませんねぇ? こうやって相手を恐怖で縛るってのは。 まさに快感です」
「畜生……本当にお前は天使か?」
「えぇ。 天使ですよ奴隷君。 いとも容易く行われるえげつない行為ってのが、だーい好きな大天使ですよ~」
天使の様な笑みで凄い嘘吐くなこの野郎……お前は天使じゃねぇ。 天使の皮を被った悪魔だろうが!
等と心の中で罵るが、口に出したら絶対に弾丸が飛んできそうで言えなかった
「さてさて、貴方の今置かれている状況の説明は以上で終わりましたし、私は転移の準備してきます。 ガブリエル、そっちもそっちで準備お願いしますね」
「はい、姉さん」
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