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ガヴリエルはそう言うと、俺達から少し離れて何やら作業を始める
俺はと言うと、へにゃりと地面に座り込んでいた
しかし……とんでもない事になったもんだぜ。 自殺して人生やり直すつもりが、そのまま異世界行って奴隷生活とはな……。 ハァ~……俺ってとことん不幸なのな……
「大丈夫……ですか? 薫さん」
深い溜め息を吐く俺。 そんな俺を心配してか、ガブリエルが俺の隣に座って気遣ってくれた
「なんとかな……。 ハァ~……どうせ異世界行くなら、お前とが良かったよ」
「アハハ……。 でも、あまり姉さんを悪く思わないで下さいね?」
「思わないでってお前、あんな悪魔を悪く思わない方が可笑しいっつーの……」
「それはそうなんですが……実は姉さん、あぁ見えて凄く寂しがり屋なんですよ?」
「あいつが?」
「はい。 昔は私が居ないと直ぐに泣いちゃう人だったんですよ。 それに、姉さんは少し人との接し方が下手なだけで、本当は凄く優しい人なんです。 あの性格も、その裏返しです」
懐かしむ様にガヴリエルを見ながら話すガブリエル。その話を聞いた俺は、改めてガヴリエルを見た
正直そうは見えない。 笑顔で拳銃ブっ放したり、奴隷とか平気で言う奴だぞ?
「悪い、全然見えねぇわ」
「ですよね……でも私は、私には分かります。 だって私は、生まれてからず~っと、姉さんと一緒に居たんですから。 だから薫さん」
「あぁ?」
「……姉さんの事、気に食わない事もあるかもしれませんが、よろしくお願いします」
「よろしくお願いしますって……」
ガブリエルに深々と頭を下げられ、俺は凄く困惑した
でも、もしそうなら……俺がどうにかしてやりたいとも思った
奴隷になるのは更々ごめんだ。 でもよぉ? そういう事なら、旅は道連れって奴で、着いていっても良いかもなって……お人好し過ぎて、自分で笑っちまいそうだ
「……ハァ~、仕方ねぇなぁ全く。 分かったよ。 お前に頭下げられたら、行かねぇ訳にはいかねぇよな」
「! ありがとうございます!」
「任せとけって。 姉は俺が更正させてやるからよぉ」
「はい! それじゃあ、異世界の説明と貴方の身体の設定をさせて頂きます」
「そう言えば、まだそこんところは聞いてなかったな」
「えっとですね、貴方と姉さんが向かう世界は『ファンタズマ』という、謂わばファンタジーな世界です」
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