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俺は、横になっていた身体を起こす
周りを見渡してみると、何つーかな……白いとしか言い様がない空間に俺は居た
地平線の彼方まで真っ白で、床には一面ドライアイスでも撒いたのか白い煙の様な物が漂っている
そして俺の目の前に、幼い女の子が二人、一人はおどおどと、もう一人はハッ! っと鼻で笑いながら立っていた
どうやらこの二人は双子らしく、見た目に殆ど違いが見られない
艶がある金髪ショートで体格はどう見ても小学生。 顔付きは幼いが十年も経てば確実に美女と呼ばれるだろうと簡単に想像出来る美少女。 そして衣服は白い布一枚を綺麗に身体に巻いているだけという、明らかに一部の人間が見たら発狂しかねない危ない格好だ
でもよぉ? 一つだけ、たった一つだけ、普通に考えても有り得ない物が、二人の背中にあった
それは、彼女達の身体には不釣り合いなデカい、純白の綺麗な翼
鳩より白く、鷹より雄々しく、孔雀より優雅に……今まで見てきたどんな鳥の翼よりも美しい翼が、彼女達の背中から生えていた
な、何だ? こいつらは? ハッ!? まさかこいつらが天国に居る天使って奴か!?
……ていうか、俺ってどうなったんだ?
「あの、大丈夫ですか? 何処か痛かったり、気分が悪かったりしませんか……?」
双子の少女の内、おどおどしていた少女の方が、俺に話し掛けてきた
「お、おう……なんともないぜ?」
俺は少女の手を借りて立ち上がる
すると少女は「良かった……」と、ホッと安堵した表情を見せてペコリとお辞儀した
「えっと、自己紹介がまだでしたよね?私の名前はガブリエル。 そしてあっちの私そっくりな人は私の姉の……」
「ちょっとちょっと。 自己紹介くらい自分で出来るってんですよ。…… コホン。 えぇ~、今紹介に与りましたガヴリエルって言います。 よく天界に来ましたね? 歓迎しますよ」
……あ?
「ごめん。 今同じ名前じゃあなかったか?」
俺は自己紹介してくれた二人の少女の顔を交互に見る
ただでさえ見た目じゃ判断出来ねぇくらい似てんのに、名前まで同じかよ……
「いや、違うでしょうが! 私がガヴリエルで」
「えっと……私がガブリエルです」
「……うん、何処が違うんだよ?」
「いやいやいやいや!“ヴとブ”の違いくらい知ってんでしょうが!? 下唇噛むのが私!」
「下唇を噛まないのが私です」
「成る程。 分からん」
どっちも同じようなもんじゃあねぇか……違うのか?
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