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私がそう言うと、1号は何も言わずに中へ戻った。
そしてしばらくすると、身体が冷えてきた。
心地よさが身震いに変わりそうだ。
私はドアを開け、中に入った。
1号の言った通り、暖炉が付いていた。
「ありがとう1号。」
「いえ。」
私はキッチンで暖かい珈琲を入れ、ソファーに腰を降ろした。
そして珈琲を一口啜り、テーブルに置いた。
「1号。」
「はい。」
「明日私と幸せを探しに行きましょう。」
「幸せ。」
「そう、幸せよ。」
「はい。」
その時、1号の声のトーンがいつもより上がった。
顔の表情こそ無いが、言葉の表情が読み取れた。
「嬉しそうね。」
「はい、勿論。」
「なら良かったわ。」
そう言い、私はもう一口珈琲を啜る。
珈琲の暖かさが身に染みる。
「それ、美味しいですか。」
「香りがいいわよ。」
「僕が人間だったら、飲みたかったです。」
「そう、それは残念ね。」
私はテーブルに置いてあるクッキーを一枚食べ、1号を見つめる。そして私は呟いた。
「まぁ、あなたに味覚なんて要らないわよ。」
「そうですか。」
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