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廃材のみで組み立てられた不細工な塊が目の前にある。
それは辛うじて人の形をしており、肩の部分からは歯車が飛び出している。
機能は、人工知能、自己学習、コミュニケーション機能だ。
見た目に反して中々ハイテクだ。
取り敢えず起動し、動作の確認をする。
「取り敢えず、起動に問題なし…。」
人間で言う目の部分に取り付けたON、OFFのライトが光った。
次に自己学習の動作確認に取り掛かる。
指をロボットの前に出す。
「いい?これは一本だよ。」
「いっ…ぱん…?」
「いっぽんよ、いっぽん。」
「いっぽ…ん。」
「そうそう、言ってみて?」
「いっぽん。」
「異常は無し…。」
「いじゅうはなす。」
「あぁ、真似しなくていいわ。」
「あぁ、まぬすなくといいゆ。」
「はぁ…、この辞典の言葉を覚えといてね、文字を読む位の知識はあるはずだから。」
ロボットは私が手にしていた辞典を取ると、表紙を凝視した。
「辞典…。」
ロボットは言葉を発した。
どうやら音より、字の方が覚えやすい様だ。
にしても、この塊をロボットと呼ぶのは少し抵抗がある。
名前をつけなくては。
「……あなたの名前は今日から"1号"よ。」
「名前、1号…。」
これが私と1号の出会いだった。
◇「プロローグ」◇
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