1760人が本棚に入れています
本棚に追加
――コンビニの前。
10年ぶりに再会した直人くんは少し痩せていた。
お互いに『変わらない』と言いながら、思春期から大人になった10年の歳月をその一言で片付けてしまうのは、嬉しいようで味気ない。
女ならば
『変わらないね。』よりも
『綺麗になったね。』が欲しいもの。
だけど、彼の目にそう映らないのであれば諦めるしかない。
「お疲れさま。」
私は彼が肩から提(サ)げていたカメラバッグに視線を置きながら言った。
「…悪い。煙草もう一本いい?」
彼は私の言葉に視線で応えながら、私の返事を待たずにすでに煙草を一本取り出していた。
「うん、いいよ。」
私は返事をしながら、無意識のうちに一歩後ずさった。
実は
煙草の匂いも煙も
苦手だった。
最初のコメントを投稿しよう!