モザイク

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「あっち行こうぜ。夜景がもっときれいに見える。」 直人くんが立ち上がり、私も続いた。 強い風に逆らって私はワンピースの裾をしっかり握る。 ロータリーの端まで来て柵の手すりに手を掛ける。 夜景は確かに私の目を奪った。 だけど… 私の心を奪ったのは 煌(キラ)びやかな夜の光なんかじゃなかった。 彼は私のカラダの向きを変え、私は柵に背中をつけた。 再び重なる唇は それ以上を欲しがっている。 もはや夜景は私たちの背景に過ぎない。 カラダをよじらせ薄目に入る東京の夜景は 涙に滲んで カラフルなモザイク模様に映っただけだった。
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