モザイク

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「お邪魔しま…す。」 初めての…彼の部屋。 男の人の匂い。 煙草の…匂い。 玄関からは何の仕切りもなく部屋を見渡せる。玄関の正面に階段があるので2階のロフト部分があるらしい。 「散らかってるけど。」 直人くんは鍵をテーブルに投げるように置いて、そのまま冷蔵庫を開けた。 「ううん、きれいにしてるよ。」 「そうか?」 「うん。」 1階部分は玄関を入ってすぐにトイレとキッチン。奥にリビング。 何より目を引いたのは… 「…すごい窓。」 玄関の正面から見える大きなサッシ。 それが2段になって2階部分まで壁一面がガラスになっている。 ガラス越しに光が差し込んでで素敵だった。 それを見つめる私に直人くんは言う。 「夏は暑すぎで冬は寒いんだよ。今2階行ったら蒸されて死ぬよ。」 「ね、行ってもいい?」 「いいよ。」 少し螺旋がかった階段は下から覗けばワンピースの中が見えてしまう。 直人くんがそんなことするわけないけれど、ワンピースの裾を抑えて階段を上がった。 2階部分は寝室とお風呂。 「2階に風呂なんて変な造りだろ?」 いつの間にか直人くんも上がってきていた。 彼はベッドの上のリモコンでエアコンのスイッチを入れた。
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