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「阿部さん!」
アシスタントがタオルを持って駆け寄ってくる。
「あー、またやっちゃったよ」
タオルをうけとりながら、ため息交じりで阿部はそう言った。
「お疲れ様です」
「いやーほんと……」
タオルに顔をうずめながら言う。
「……なんで坊主なんだよ!」
「えっとそれは――」
「なんで西部劇なのに坊主なんだよ! おかしいだろ! お前、ギンギンに睨みきかせて決めてるガンマンが頭ピッカピカさせてたらどうよ? おかしいだろ? そりゃ世界にはいろんな人間がいると思う。でもな、視聴者はそんなイレギュラーな要素は求めてない。ガンマンならガンマンらしく。これだよ。なのになんなんだよアレ……」
「なんでも大河ドラマで空海演じるんで、その役作りだそうで――」
「それは打ち合わせの時に聞いた」
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