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「……あ、あれは彼なりに工夫した結果だと」
「どんな工夫だよ! どんだけ塗ってもインクまみれの頭皮がてっかてかに光ってんだよ。髪なんかに見えないんだよ。そんなの唐突に見せられてたらさ、誰だって笑うだろ」
「はい、すみません!」
「注意しろよ誰か」
「それが彼は○○事務所の今売出し中の俳優さんでして、なかなか……」
「はあ。……じゃあ、せめて帽子が脱げないようにしない? 風が吹く力を弱めるとか」
「あれは、スポンサーたっての演出だそうでどうにも」
「スポンサーが言ってきたの? 帽子飛ばせたいって?」
「なんでも好きな西部劇の映画にそういうところがあるそうで、ぜひ入れて欲しいと」
「はぁ……」
「すみません」
「……俺も役者よ、こうやって呼んでもらって演じるからにはいいものつくりたいわけ。でもさ、どうよ。西部劇にマジックで頭塗りたくったガンマン出てきたら。視聴者どう思うよ?」
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