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オレはこの忌まわしい日までは普通の高校だった
それこそ通っている学校も偏差値が高い訳でも低い訳でもなく
部活動に特化している訳でもなく
制服も女子の話題にあがらないくらい普通
オレ自身も成績は普通
友達もそこそこ
クラスで特別目立つ存在でもなく
顔は…普通だと願いたい…
それがこの『周防 凛斗』だった
そしてこれからもこの普通がずっと続くものだっと思ってた
普通に卒業して
就職して結婚して
家族を増やして…
だけど‘この日’を境にその考えは脆くも崩れ去るのだった。
その日は本当に普通の日だった
普通に学校に行って、授業を受けて、友達とバカやって、帰りにカラオケに行って帰った
なんて普通の日だろう
この普通が好きだった
いつまでも続けば良いとさえ思う程に
でもオレの意思に反してこの‘普通’が突然終わりを告げる事となる
「なんだよ…これ…」
何時もより少々遅く帰路に着き、母の鬼の様な形相を想像しつつドアを開けるとそこには何も無かった
文字通り‘何も無い’のだ
家族の姿も
家具も
それこそ空間さえ
何も無かったのだ
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