第2話

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「チッ。今日はついてねぇな」 朝から、何十回電話をかけた事だろう。一向に電話が繋がらない。 繋がったとしても若過ぎる相手だと無理だ。今日のターゲットはソレじゃない。 「チーフ。今日はターゲットを変えたらダメですか?」 ……そう、言えたらどれだけマシか。 隣りの部屋で奥さん相手に偽の投資話を持ち込む奴らが羨ましく思えてくる。 「オイ、手を休めるな!良いか。高齢者はたくさん金を持っている。ソイツらに金を振り込ませ営業成績を上げる。ノルマ達成にはお前の電話が勝負なんだぞ!」 チーフが怖い目で睨んでいる。 分かっちゃいるけど、こうも電話が繋がらなきゃどうしようもない。 全く。マトモな企業でもないのにマトモな企業みたいにノルマに煩い。 そう思い受話器を耳に当てボタンを押す。
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