第2話

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「ハイ」 ――ラッキー! たった一言。年老いた老婆の低い嗄れた声に瞳を輝かせた。 「婆ちゃん。オレオレ……」 そう言えば大概、孫の名前を出すから不思議だ。 「オレ?……もしかして、タケルかい?」 「そう、タケル。実はさ……」 練習通りに会話の先を言おうとした。 「あぁ。タケルかい。えがった、えがった。ほんに便利な世の中になったなぁ」 老婆はそう言って泣き出した。
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