572人が本棚に入れています
本棚に追加
響は、明里に鈴の付いた首輪を付けていた。
どこからか聴こえていた鈴の音は、どうやら自分の首元からだったらしい。
ゆらゆらと触れるそれがこそばゆくて、外そうと手を伸ばしたら響に止められてしまった。
「何してるの? 外しちゃダメだよ。君は僕のモノなんだから。勝手は許さないよ」
「っ……」
強い瞳で言われて、明里は怯えて息を詰める。
響はそれすら楽しんでいるようだった。
「その生意気そうなそのつり目が猫みたいだから、猫にしてあげようと思ってね。犬はロッソいるし。
ああ、言っておくけど、いくら猫は気まぐれだからって、自由気ままで言うコトを聞かなかったらお仕置きするからね。ちゃんとお利口さんにするんだよ」
にっこりと微笑んだその顔は、有無を言わせない恐ろしさがある。
明里はサーッと血の気が引くのを感じた。
自ら棄てた命を拾われて、明里は響のモノになった。
だから彼の言葉は絶対で、猫にすると言うのも本気なのだろう。
明里が気を失っていた時から、もうすでに首輪は付けられていたのだから。
これから自分はどうなるのか。
この人が自分をどうしたいのか。
不安と恐怖で、明里はカチカチと歯を鳴らした。
最初のコメントを投稿しよう!