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「どうしたの? そんな怯えなくても大丈夫だよ。君が大人しく僕の言うコトを聞いていれば、何もしない。いい子にしていたら、ご褒美もあげるよ。
ああ、そうだ。名前を付けなきゃね」
青ざめる明里とは正反対に、無邪気に響は何がいい?
と問うてくる。
そんなとろけそうな甘い、優しい声で。
でも響は、名を聞いたわけではない。
始めから、明里の名前を呼ぶつもりなんて全くないようだ。
なら、名乗る必要もないのだろう。
震えた明里に、アモロッソがぽすんと顔を膝の上に置いた。
ふさふさの尻尾を振って、布団を叩く。
「…………………………」
その重みと温もりと音に、少しだけ落ち着いた気がする。
明里は俯き無言のまままつ毛を落とした。
「んー……特に希望はないみたいだから、勝手に決めちゃおうかな」
響は特に気にした様子もなく、1人で言ってしばらく思案した。
不意にそうだ、と呟く。
「アレにしよう! アニマート。
今日から君は、アニだよ。わかったね?」
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