あたしを縛る甘い鎖

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朝ごはんを一緒に食べた後、響はスーツに着替えて仕事へと出かける。 キッチリとネクタイをした姿をあまりに恰好良くて、明里は思わず言葉を失った。 「昼食は冷蔵庫にあるからお食べね。 家の中の物は好きに使っていいけど、散らかしちゃダメだよ」 にこやかにそう言い残して出掛けて行く響に、食卓の椅子に座ったままコンパクトに膝を抱えていた明里が小さな声で「いってらっしゃい」と言うと、響は一瞬ぽかんとする。 けれどすぐに口角を上げて、とろけそうに甘い微笑みで、 「うん。いい子でお留守番してるんだよ。アニ。 いってきます」 と、額にキスをひとつ。 驚きに固まる明里の頭を撫でて少しだけ困った顔をして、響は出て行った。
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