あたしを縛る甘い鎖

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特にすることもなくて、ぼんやりとリビングのソファベッドの上で膝を抱え座っていた。 すぐ近くのサイドテーブルには、明里があの時持っていた物が置いてある。 カバンと財布と手帳と携帯と小物入れとハーモニカ。 中身が出されていたのは、一応乾かすためだろう。 明里は手を伸ばしてそのひとつひとつを開いた。 どうせあの雨でやられて駄目になっているのだろうが。 最初に小物入れをカバンに入れた。 今更だが、響には中身を知られたくなかった。 財布の中のお札はしっとりとよれていた。 手帳も同じく。 隠すように入れてた大切だったはずの写真も例外なくくちゃくちゃで、それを見て明里はざまぁみろと思いながら叩くように閉じた。 それから携帯。 どうせ来ない連絡を期待してしまいそうだったので、電源が入らないことにひどく安堵した。
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