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次に目を覚ました時は、朝だった。
朝日が眩しくて、目覚めた。
(……まぶしい……)
彼女は逃れるように顔を背けると、どこからか鈴の音が聞こえた。
隣には毛むくじゃらの何がいる。
「……………?」
毛むくじゃらはくりんくりんの瞳で彼女を見て、顔をベロリと舐める。
それからぽすんぽすんと布団を叩くようにして、しっぽを鳴らした。
(なっ……犬?)
よくよく姿を見てみれば、毛むくじゃらの正体は大型の犬だった。
犬はぴんと耳を立てて顔を上げた。
つられて彼女もその方向を見ると、やわらかな微笑みを浮かべた人がクスクスと笑っている。
「あまり人に慣れる子ではないのだけれどね。なかなか目の覚まさない君を心配して、ずっと側にいたんだよ。ちゃんとお礼を言っておあげね」
そう言って現れたその人は、彼女が横になるベッドの脇に腰掛け、彼女の顔色を窺った。
「うん。だいぶ顔色良くなったね。気分はどう?
起き上がれる?」
彼女が言われた通りに身じろぎながら起きようとすると、その人はそっと手を添えて抱き起こしてくれる。
彼女は突然のコトに思わず固まり顔を赤く染めた。
そんなふうに扱われることなど、今まで一度だってなかったから。
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