step3 甘えんな

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…ドカッ! 「痛っ…」 見上げると、また私の前を立ちはだかる男。 「くそてめぇ…」 永田かよ。 「ケッ、どいて!」 私は、避けて行こうとすると、 「ぶつかっといて、謝りもしない。無礼な女だ」 ぶ、無礼!? 私は、こんな無礼な男に無礼だと言われた事に腹が立って、また戻って強く言った。 「あんたに言われたくないわい!」 ファックユー! 私は中指を立てる。 「はっ、くだらん。ところで、何だもう新しい男が出来たのか?離婚したばかりで。…淫乱だな」 いっ、淫乱!? 「あんたのが変態な癖に!」 どういう奴よ、コイツは。 見上げて睨むと、冷たい視線で見下された。 「おい、痴女。欲情してんだったら、俺にいつでも言えよ。適当に構ってやるぞ」 「アホじゃないの、さっきから。離婚した後は、色々とまだ片付けなきゃいけない内情があるの」 …あ、しまった。 元旦那だと、口滑らした。 「へぇ~、前の旦那と会うんだ」 「とにかく、私の事はほっといて!」 永田は腕をまた組み直して、庭先から路駐している車を見る。 「着いたみたい。まぁ、早くキリ付けて、戻って来いよ」 そう言って、自分の家へと帰って行った。 キリ付けてって、キリはとっくに私から付けてある。 内情なんて、はっきり言ってない。 戻って来いよ…か。 何だか、またその言葉にドキッとしてしまった。 私の帰る場所は、…永田の場所。 そんなふうに聞こえてしまった。
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