step3 甘えんな

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食事先で、元旦那に訪ねられた。 「一つ聞きたいんだけど。おまえって男と住んでるのか?」 ブブーッ!! 私はウーロン茶を思わず吹き出した。 「そんな訳ないっての!」 「そうだよなぁ」 吹き出したお茶を、フキンで拭いた。 「もしかして、あの背の高いヒョロッとした作業服の男だと思ってない?」 「おまえのアパートの方へ歩いて行ったから、てっきり」 「なわけないし!」 私は唐揚げを口に頬張りながら、強く言った。 「あの人、あのアパートの管理人の孫だよ」 元旦那は、受け皿にサラダを盛って私に手渡す。 「孫?孫がなんでまた」 「あのオンボロの裏に一軒家があってね、アイツはそこに住んでるの」 手渡されたシーザーサラダをガツガツ食べる。 「ほぉほぉ」 その後は、相変わらず私の仕事の愚痴聞きしてもらって、たらふく食べて喋って、帰りの車の中で眠ってしまった。 「おい、着いたよ」 「ふげぇ~、眠いにゃ」 元旦那の優しい笑顔に、半目で見つめる。 「そんな甘えた声出したらキスしちゃうぞ?」 5つ年上の元旦那は、私の口元を親指でなぞる。 「いいよ。なんてね、嘘だよ」 すると、口唇が近寄ってきて結局キスされた。 軽いキスだけかと思ったら、舌まで入れてきて、 「んんっ…ぅつ…」 …ま、いっか。 私も舌を絡めた。 「なぁ、恋人同士を思い出して、今晩久しぶりにエッチしない?」 「それは…ちょっと…」 キスはしても、そこまではもう別れた男とはハッキリ言って、したくない。 「ダメ?」 私は何だか目が覚めてきて、急に真面目に困惑してしまった。 「今からトシコの部屋でしたいよ、俺」 元旦那は興奮しているのか、息が上がっていた。 「それがダメなの」 「なんで?」 永田の冷酷な顔が浮かんだ。 「人を家に入れるなって言われてて」 「誰にだよ」 「あの管理人の孫に」 元旦那は眉を寄せた。 「孫なんて管理人じゃないから関係ないだろ?いいんだよ、そんなの無視しろ」 「だってね、言う事聞かないと追い出されちゃうから。本当にごめんなさい」 私は握り締められた手を、そっと離した。
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