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でも確かに昨晩は、私の突発的なワガママを聞き入れてくれた。
冷たく断られるかと思ったのに。
キスだけで、疲れて眠ってしまった私の隣りで、永田は何もしないで、添い寝てくれていた。
ずっと側に居てくれていた。
普通なら、最後までやるとこを。
…なんで?…もしかして、優しさ?
私はチラッと永田を見て、目をそらして仕方なく言った。
「仕方ないか」
ボヤク私に、
「仕方ない?」
ゲッ!…聞こえたみたい。
「いいえ、あの、コンビニ行って来るね」
「コンビニ?」
と、言って永田は溜め息を付いた。
何か文句でも、あんのかよ!
「金は後で払う…さっさと行って来い」
と、頼み事を永田は、ふてくされて言った。
「はいはい…」
鬼畜だ…鬼畜だよ、アイツは。
まさか、あの怖い顔して、私の手料理が食べたかったって訳は…ないよね?
血の通ってないような冷徹男が、温かなモノを望んでいるようには…思えないでしょ?
コンビニがお似合いだよ、おまえはさ。
私は近くのコンビニで、おにぎりやカップ麺を買う。
永田は、あぁ見えて痩せてるけど、意外と筋肉はあったなぁ~…。
身体も、顔に劣らず、いい身体していたなぁ~…。
よし、たくさん食べそうだから、おにぎりは二個にしてやろう。
はぁ~あ。
性格さへ良ければ、絶対完璧なのにぃ。
優しくないのが、取り柄だなんて…デビルじゃん。
永田のバーカ。
買って帰って、さっそく永田の部屋で食べる。
「ツナマヨとエビマヨと昆布と…」
「よく俺の好みが分かったな」
「適当に買ったんだけどね…」
単純にマジに適当に、自分の食べたいモノを用意したまで。
「おまえはどれ食べる?」
「エビマヨー!」
「じゃあ俺は…」
エビマヨを躊躇いなく取って、さっさと口の中に入れた。
「あぁっ?!何でぇ!!」
私の好みを聞いておいて、食べるとは…。
どういう嫌らしい奴なんだ、コイツ。
信じられない。
そして、ツナマヨを私が食べようと手を伸ばすと。
…パシッ!
「痛っ!」
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