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「嘘っ?」
「本当に。だから、ごめんな。もうトシコと食事会はこの先できなくなっちゃった」
……。
急に親しい友人よりも深い関係の人間が、目の前から居なくなる寂しさが、一瞬よぎる。
「そうなんだ…」
どうしよう…寂しいや。
この先、誰に甘えたらいいんだろう。
「俺とトシコは結婚なんてしないで、恋人のままでいたら、長続きしてたかもな 」
元旦那にポツリと言われて、私もうなずいた。
「トシコの性格を、俺がもっと把握して結婚の結論を出すべきだったと後悔してる。そうすれば、戸籍にバツなんてモノが付かなかったはずだから。…ごめんな」
何で、謝るの?
私が別れたいって言って、一方的に離婚したのに。
「今どき、バツなんて当たり前だよ。そんなモノで私は傷付いたりしないよ。そんなふうに言われたら、こっちが気にしちゃうよ」
「俺はいいよ、男だから。だけど、また再婚する時に何か気に触る事がおまえに合ったらと、思うとな」
「再婚だなんてしないよ。結婚事態が私にとったら人生の墓場なのに、しないしない。絶対この先しないよ」
私は断固否定した。
「じゃあ、俺はトシコと唯一結婚できた男って訳か」
「そうそう」
私は笑顔で吹き飛ばす。
「その笑顔も見れなくなるのが寂しいよ。幸せにしてやれなくて申し訳なかった」
元旦那は頭を下げた。
寂しい…って思った。
もう、甘えられないって。
今までも、どれだけでも甘えてきたのに。
遠くに行ってしまう、私から本当に離れてしまう。
わがままだった私を、嫌な顔一つしないで、いつも優しく頷いてくれていた。
離婚の時も。
なのに、幸せにしてやれなくて申し訳なかった…だなんて。
私は涙が出た。
「なんで、泣くの?」
と、わざわざ車を停めて、抱き締めてくれた。
「これからは幸せになるんだから、泣くなよ。自由って幸せがトシコのライフスタイルだろ」
「ふぇ~ん…そうだけど、何かごめん。寂しくて涙が止まらないの…ふぇ~ん」
私は泣きじゃくった。
「寂しいって思ってくれるのか。嬉しいよ、ありがと」
やだやだ、ありがとなんて言わないで。
これで、本当に縁が切れちゃうみたいで、やだやだ!
「トシコ、今夜最後におまえを抱きたい。…それって許されないかな?」
元旦那は泣き顔の私にキスをした。
最後だと言われて、悲しくてまた涙が零れた。
「…うん」
すると、そのままグッと抱かれてディープキス。
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