step5 勝手にしろ

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「嘘っ?」 「本当に。だから、ごめんな。もうトシコと食事会はこの先できなくなっちゃった」 ……。 急に親しい友人よりも深い関係の人間が、目の前から居なくなる寂しさが、一瞬よぎる。 「そうなんだ…」 どうしよう…寂しいや。 この先、誰に甘えたらいいんだろう。 「俺とトシコは結婚なんてしないで、恋人のままでいたら、長続きしてたかもな 」 元旦那にポツリと言われて、私もうなずいた。 「トシコの性格を、俺がもっと把握して結婚の結論を出すべきだったと後悔してる。そうすれば、戸籍にバツなんてモノが付かなかったはずだから。…ごめんな」 何で、謝るの? 私が別れたいって言って、一方的に離婚したのに。 「今どき、バツなんて当たり前だよ。そんなモノで私は傷付いたりしないよ。そんなふうに言われたら、こっちが気にしちゃうよ」 「俺はいいよ、男だから。だけど、また再婚する時に何か気に触る事がおまえに合ったらと、思うとな」 「再婚だなんてしないよ。結婚事態が私にとったら人生の墓場なのに、しないしない。絶対この先しないよ」 私は断固否定した。 「じゃあ、俺はトシコと唯一結婚できた男って訳か」 「そうそう」 私は笑顔で吹き飛ばす。 「その笑顔も見れなくなるのが寂しいよ。幸せにしてやれなくて申し訳なかった」 元旦那は頭を下げた。 寂しい…って思った。 もう、甘えられないって。 今までも、どれだけでも甘えてきたのに。 遠くに行ってしまう、私から本当に離れてしまう。 わがままだった私を、嫌な顔一つしないで、いつも優しく頷いてくれていた。 離婚の時も。 なのに、幸せにしてやれなくて申し訳なかった…だなんて。 私は涙が出た。 「なんで、泣くの?」 と、わざわざ車を停めて、抱き締めてくれた。 「これからは幸せになるんだから、泣くなよ。自由って幸せがトシコのライフスタイルだろ」 「ふぇ~ん…そうだけど、何かごめん。寂しくて涙が止まらないの…ふぇ~ん」 私は泣きじゃくった。 「寂しいって思ってくれるのか。嬉しいよ、ありがと」 やだやだ、ありがとなんて言わないで。 これで、本当に縁が切れちゃうみたいで、やだやだ! 「トシコ、今夜最後におまえを抱きたい。…それって許されないかな?」 元旦那は泣き顔の私にキスをした。 最後だと言われて、悲しくてまた涙が零れた。 「…うん」 すると、そのままグッと抱かれてディープキス。
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