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お風呂に入りたい。
けど、お風呂に入る前にウダウダと何か言われたら。
嫌だな…。
でも、エチケットとしてモラルとして、女だから余計に、お風呂には絶対入らなければいけない。
嫌だな…。
近くに銭湯はあるけど、スーパー銭湯だから一回で600円は取られる。
そんな毎日なんて無理だもん。
やむを得ず。
永田の家の裏手にある、私専用の扉から入る。
そこは風呂場が入ってすぐの場所にあるから、そこで早々と脱衣して風呂場に入る。
さっぶ~っ。
やっぱり夜はまだ冷えるわ。
永田も一人だからか、お湯炊きのできる浴槽にも関わらず、湯を溜める事なく、シャワーで済ましているようで。
私もシャワーで済ます。
シャンプーもボディソープも、ここの備え付けで洗う。
♪フン♪フン♪フン~♪
♪ラン♪ラン♪ララン~♪
気持ち良すぎて、鼻歌を唄っていると。
…ガタッガタッ!
ええっ!!?
私は慌てて振り返ると。
ウゲッ!出た!!永田!!
しかも堂々と全裸で登場。
「キャー!!ちょっとー!今、私が入浴中なんですけど!」
「……」
眉間にシワを寄せて、どけ!と言わんばかりに私からシャワーを奪い取る。
「俺の家だ、そんなもん、知るか」
「だからって、いい加減にしてよ」
私は身体を隠しながら、渋々出て行こうとすると、
「どこ行くんだ?」
「あんたが入ってきたから、出てくんだよ!バカ!」
「これ、渡すから」
と、私にスポンジを差し出す。
「あぁっ?!」
私がキレて睨み付けると、
「俺の背中を洗えよ、ブス」
「嫌です」
ブスだとか言う奴に、何で私が!
「俺の言う通りにしろ」
「嫌だ」
「自分の首、締める事になるぞ」
うぬっ!…全然、意味が分からないけど。
その言葉にドキリとする私。
永田は私に背を向ける。
旦那の背中だって、こんな洗ってやる事なんてしなかったのに。
コイツの言いなりが、悔しい。
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