冬桜

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「おばちゃんにもよく描いてくれたもんね。おかげで入院中も楽しかったわ。ありがとう。」 横からも更にお礼を言われて小さな頬は真っ赤に染まる。 そんな和やかな一時を台無しにする音がお腹の辺りから飛び出した。 ぐぅ…、きゅるる… うわ!みっともない… 恥ずかしさでいっぱい。早くこの場から逃げたい。 「あらら。こんな時間だものね。お腹空いちゃうわよね。」 「売店であんぱんか何か買ってくるよ。」 「じゃ、ちょっと待って。」 腕を引き留められ、小銭入れを渡される。そっと耳打ちされた言葉に頷き、病室を出ようとした。
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