冬桜

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月曜日の幹線道路の渋滞につかまった車列。 トラックや営業車ばかりの中で小ささゆえに目立つ一台には、親子らしき女性と男の子が乗っている。 「あらぁ。この先までびっしり。まいったわね。」 「だからもっと早く出ればよかったのに。母さんがぐずぐずしてるから。」 窓から顔を覗かせている母に向かってぼやくと、溜息をついて反対側に目を向ける。 川の向こう岸、秋色に美しく染めた葉をまとう木々が延々と続いている。 あれ、あそこ… ふぅん。桜って紅葉するんだ。
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