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「あら、休暇で来たのは本当よ。まあ、目的は貴女たちとは全然違うけれど。」
ジーンズに、白いシャツというシンプルな出で立ちの彼女は、シャツの袖を無造作に捲ると、楽しそうに目を細めた。
年はやはり同じくらいだが、彼女はかもし出す雰囲気が年齢よりも落ち着いているのだ。
「知ってる?」
わざとらしく声をひそめる。
「殺人事件があったのよ、ここで。」
私は白けてしまった。
何を言うかと思いきや。
「それ、本当なの!?」
カトリーヌが青ざめる。
「そんなの、聞いてないわよ!私、怖いっ!!」
「まあまあ、落ち着いて。ずっと昔の事だしさ。」
カトリーヌの反応がいいせいか、芦原は嬉しそうだ。
「三神さんは平気そうだね?」
少し、驚いたふりをした方が良かったか?
まあ、普通は驚く所なんだろう。
「いいえ、恐怖のあまり声も出なかったの。…で?殺されたってのは、先程の芸術家かしら?」
そして、その霊が今でもこの館をさ迷っているとか言うんじゃないでしょうね?
言っておくけど、霊は信じないわよ。私は。
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