蝮と蝙蝠

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目が覚めると、鳥澤が心配そうに私の顔をのぞきこんでいた。 寝顔を誰かに見られるなんて、不愉快極まりない。 「鍵がかかっていたはずだけど?」 私は起き上がって髪の乱れを直す。 まあ、鳥澤にかかれば鍵開けくらいは朝飯前なのだろうが、プライバシーの侵害はごめんだ。 「三神…その様子じゃあ、まだ気がついてないようだね。どうやら、あたし達、また巻き込まれたらしいよ。」 何を言っているの? …"また"? ふざけているつもりがないことは、鳥澤の表情を見れば分かるが…。 「貴女、遊技室にいたんじゃないの?」 「ビリヤードの相手、芦原さんに代わってもらったからさ、1度部屋に戻ったんだ。そしたら…」 部屋のライティング・デスクの中に、奇妙なカードと封書があったという。 「カード?カードなんてありふれているわ。それがどうかしたの?」 自分でも緊張している事が分かる。 私はデスクの蓋を開き、その中に鳥澤がいう通りのものを発見し、愕然としたのだった。 また、あの悪夢が始まると言うのだろうか?
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