不吉な再会

3/6
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「ちょっと、無視しないでくれないかな!?あんただよ、三神静さん!」 「あ…ああっ…。」 左右から手が伸びて、私の顔を挟むと、強引に上を向かせる…。 こんな礼儀知らず、他に知らない。 私は逆さまになった、彼女の顔を思いきり睨んだ。 「鳥澤…楓。あんた、生きてたの?」 「名前、覚えててくれて光栄だよ。久し振りだね。」 にんまりと笑う彼女は、高校時代から全然変わっていなかった。 「一人で避暑地へ行くなんて、水くさいじゃん。」 「…一人でいる方が気楽なのよ。」 友達がいない事、知っているくせに。 「偶然…ではないわよね?あんたがここにいるって事は、何か企んでいるの?」 鳥澤に関わると、ろくな事がない。 一見、つかみ所がなく飄々(ひょうひょう)としている彼女だが、得体の知れない犯罪組織に所属していた経歴がある。 (今、どうしてるの?) あまり関わりを持ちたくない私は深入りすることをやめた。 聞かれたって、どうせ鳥澤はごまかすだろう。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!