蟇蛙

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突然、喋りだしたと思ったら、意味不明な事を言う。 高校生?…中学生くらいかな? 保護者は何してるのかしら、こんな女の子を一人で出歩かせるなんて。 「ほら、キャンディをあげるわ。苺ミルク味でとっても、おいしいの!」 あたしは大切なお菓子を女の子に手渡した。 彼女は感情のないお人形の目でキャンディの包みを見る。 そして、プイッと背中を向けた。 遠慮してるのか、恥ずかしいのか。 若い子にはありがちね。 「…ついてきて。」 女の子はドアの前に立つと、あたしを手招きするのだった。 いつの間にか、その手に1枚のカードを持っている。 毒々しい、紫色のカード。 あたしはお腹がすいて仕方がなかったけど、彼女の後を追いかけた。
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