不吉な再会

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「いいじゃないの、あたしが旅行したってさ…。」 鳥澤は図々しく私の隣の席に座る。 「三神だって、珍しいじゃん。なぜ、こんなツアーに参加したんだい?」 それは…、 「マンションの近くに小さな旅行代理店があるのよ。一月くらい前から、このツアーのポスターが貼られていたの。大学は夏休みだし、たまにはいいかなと思って。」 毎日、前を通るたびに目にしていたポスター。 そこにはこんな文句がうたわれていた。 『暑い夏を静かな避暑地で過ごしませんか?』 『女性限定だから安心です!』 『外国気分を味わえる、雰囲気のある洋館で夢の一時を過ごしましょう。』 …いったい、私はこれのどこに惹かれたのか。 まあ、都会にいるよりも涼しいだろう、くらいの気持ちだった。 「ふうん。あたしは安さに引かれて来たんだけどね。」 鳥澤はミニスカートから出した長い脚を組むと、急にあくびをした。 「しかし遠いねぇ…雨も降りそうだし。」 言われてみれば、さっきよりも雲が出てきている。 私は窓に肘をつくと、旅行会社からもらった、小さな地図を広げた。 今、どのあたりなんだろうか?
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