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信吾に紹介されて、イザベラが席から立って挨拶した。
「イザベラです。わたしは東南アジアの島国、ホルスタイン王国から親せきを頼ってこちらにまいりました。不慣れなことばかりで最初はみなさんに迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
イザベラがペコリとお辞儀して着席すると、部員全員から拍手が沸き起こった。真っ黒に日焼けした男子ばかりの中に紅一点のイザベラが際立った。
「えーっつ、それでは、本題に入ります。まずこれまでの反省ですが、九月に行われた秋季都大会では一次予選の第二試合で秋葉は敗退しました。これで、来年春の甲子園出場はなくなりました。そして、この新チームは今日から来年夏の甲子園を目指すことになります。そして、その前哨戦として、我々は三月に行われる春季都大会の一次予選に出場することにしたいと思います」
「春季都大会はどこまでを目指すんですか?」
二年生で正キャッチャーの大友俊一が手を挙げながら質問した。
「夏の甲子園を目指すなら、一次予選突破がマストだと思っています」
「しかしキャプテン、今年の秋は良かったけど、春は初戦敗退だったでしょう。そんなにうまくいくんですか?」
二年生で一塁手の佐々木隆が自嘲気味に発言した。
「もちろん、今のままでは難しいと思っています。だから、いくつか手を打ちたいと思います。その一つが新マネージャーのイザベラさんです。イザベラさんには良平と一緒にこれまでの戦績を洗ってもらって、今後の戦略を練ってもらいます。それから、監督も代わります。今の後藤俊三監督は今年末で退職されるので、いま、唐沢校長先生に新任の優秀な監督を決めていただくようにお願いしています」
重大な任務を負ったイザベラと良平は、翌日の昼休みに屋上で晶子と朋美に相談した。
「そういうわけで、俺たちこれからの秋葉野球部をしょって立つような重大な任務を果たさなければいけなくなったんだ。朋美さんや晶子さんの考えも聞かせてよ」
良平のいつになく真剣な眼差しを見て、晶子と朋美はしかたなく付き合うことにした。
「言っとくけど、わたしと晶子は剣道部員であって、野球部員ではないんだからね」
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