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笑いながら夏文先輩は部室に入っていき、俺と鬼龍院も続く。部室に入るとクーラーによって涼しくなった部屋が俺を迎えてくれた。 落ち着いてくると俺は部室を見渡す。もとが教室だっただけに普段とあまり変わりはないが椅子と机は半分以上が撤去されているため広く感じる。日中は明るいため部屋の電気はつけていない。教室に光が差し込み、影と光のコントラストが見事なまでに演出されている。 部屋にまだ残っている椅子に俺と鬼龍院が座っていく。 「これで三人か。あとはアルマだけだな」 夏文先輩は部室に置いてある鏡を見て自分の髪をチェックしながら言う。鏡の位置が低いため背が高い彼は、いちいち屈まなくてはならない。 三年生の美魚夏文(みうお なつふみ)先輩はこのクイズ研究部の副部長だ。背が高くて端正な顔つきなせいか女子によくモテる。俺の勝手な持論だが、イケメンって嫉妬されることとかよくあると思っていたが、彼の場合は明るい性格で気さくなためか男子との仲もいい。 「集合の時間まであと二分半あります。それまで待ちましょう。それと部員でもない女性を部室に連れ込んでいたことがアルマ先輩にばれたら大変なことになると思うんですが……」  最近、俺には辛辣な言葉ばかりかけてくるというのに夏文先輩が最上級生であるためか鬼龍院が丁寧な言葉で尋ねる。  鬼龍院の言葉に対して、夏文先輩はニカッと笑みを浮かべる。 「アルマは時間に正確だからな。それまでに帰せばいい話だ」  ……確かにアルマ先輩は時間に正確だ。いつもいつも集合時間のジャストに来る。なるほど、ちゃんと考えていたのか。個人的にはアルマ先輩と鉢合わせして、その反応を見てみたかったんだけどな。
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