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 アルマ先輩が言うには学生のうちは不純異性交遊は絶対に認めないらしい。夏文先輩は以前それで制裁を喰らっているからな。ちゃんと考えるのは当然か。 「でも先輩。昔からこういうことわざがありますよね」  鬼龍院は妖しく笑みを浮かべながら白くて細い指の人差し指を口元に持っていく。『静かに』と言っているようなポーズをとりながら言葉を続ける。 「人の口には戸は立てられぬ」  ……脅迫する気か!? 仮にも先輩だというのになんて奴だ! 「わかったわかった。今度おまえらになんかおごってやるからそれで勘弁してくれ」 「了解です。ではよろしくお願いしますね、定期的に」  こわっ!? 鬼龍院怖いよ。瞬く間に先輩を財布代わりにしちゃったよ!? 先輩の笑顔が引きつってるじゃないか。  ガラッ。  空気が凍りつこうとしたとき、いきなりドアが開かれた。クイズ研究部部長の登場だった。 「グーテン・ターク(こんにちわ)。みんなそろっているな」  きれいな発音のドイツ語でアルマ先輩は挨拶をしながら部室に入ってくる。どうやら十一時半になったようだ。  ポニーテイルにされた金の長髪は相変わらずの美しさだ。とてもさらさらしていそうで思わず思わず触ってみたくなるがこの人の性格上やめておいた方が身のためかもしれない。  背が高くスラッとしたモデルのようなスタイルに合わせて、凛々しくキレイな顔。かっこいいという言葉がぴったしで男子はもちろんのこと女子からの人気も絶大だが、一部の生徒からは恐れられているのも事実だ。その理由は簡単だ。彼女は感情をあまり表に出さないからだ。これでときどき恥ずかしそうな顔をしたり、唐突に甘えてきたりしたら最高に可愛いんだろうな。
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