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「い……いえ! なんでもないです。続けてください」  いきなり聞かれて驚いたが、アルマ先輩はすぐに話を続ける。 「大会に出場する三人を決めるわけだが、ジャンルで決めることにした」 ジャンルのことで、俺は入部した頃に鬼龍院が教えてくれたことを思い出す。 高校生クイズではありとあらゆるレベルの高いクイズが出題されるが、そのジャンルも様々である。漢字、文学、数学、日本史、世界史、経済、地理、音楽、芸術、天文、神話、時事問題などなど幅広く出題される。これらのジャンルをすべて深く覚えるのは大変だ。だからこそ三人で分けるのだそうだ。 「それでメンバーなんだが、わたしと万里は決まりだ。わたしが文学、数学、地理、時事問題を担当して、万里は漢字、天文、神話を担当する。しかし、夏文と魚崎はお互いのジャンルがかぶりすぎている。夏文が日本史、世界史、音楽なのに対して魚崎は日本史、世界史、天文、音楽。本来なら、わたしと共に大会を二度経験している夏文を選ぶべきなのだが、魚崎も入部してからの二ヵ月間必死にやってきた。だからこの際、二人にメンバー争いをしてもらい、優秀な方に決めることにした」  アルマ先輩は流暢(りゅうちょう)な日本語で言う。 「つまりオレと魚崎の一対一で戦うってことか。俺が負けたら大会の出場権を失うんだろ?」 「その通りだ。理解が早くて助かるよ。夏文」 「ちょ……ちょっと待ってください。いいんですか? 俺なんかがチャンスもらっちゃって」  俺はアルマ先輩と夏文先輩の会話に割って入った。確かに二ヵ月間頑張ってきたが夏文先輩は最後の大会だ。三年間の思いを俺が潰(つぶ)してしまうかもしれない。 「ベストのメンバーで行くのが最良だ」 アルマ先輩は短く答える。
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