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夏文先輩は冷静に答える。どうやらプレッシャーなど微塵も感じて無いようだ。
「いくぞ」
アルマ先輩は確認すると、手に持ってる手帳を見ながら再び口を開く。
「第一問。音楽用語で合唱のことをコーラスと言うが、斉唱の……」
ピンポン。
俺がボタンを押すと簡単で定番な音が出た。安物だな。ともあれこれで回答権は俺だ。
「ユニゾン!」
……なんかこれから変身しそうな名前だと思ったのは俺だけだろうか……。ともあれ俺はアルマ先輩に向かってしっかりと答える。
「正解だ。よくやった。問題を続けると……斉唱のことは何という? だ」
よし! これで先制点だ。相手に動揺を与えるためにもここはとっておきたかった。
アルマ先輩は手帳をめくり、次の問題を出題する。
「では第二問。怪物、鵺(ぬえ)を退治したことで……」
ピンポン。
今度は夏文先輩だった。
「源頼政」
夏文先輩が答え、アルマ先輩が確認する。
「怪物、鵺を退治したことで知られる武将は誰? 源頼政で正解だ」
夏文先輩は小さくガッツポーズをとる。動揺など全くしていなかった。これでお互い1ポイントずつの同点だ。
それにしても今の問題まったくわからなかった。夏文先輩は歴史が得意なのは知っていたけど、こんなことまで……。
「三問目に行くぞ。第三問。飼い主の上野英三郎を何年間も渋谷駅で待ち続けた犬で、今は銅像として……」
ピンポン。
「忠犬ハチ公」
「……今は銅像として目印になっているものは? 忠犬ハチ公だ」
アルマ先輩が淡々と答えていく。
答えたのはまたしても夏文先輩だった。これで夏文先輩は王手だ! 今の問題は俺もわかったがちょっと拍子抜けな問題だったせいか反応が遅れてしまった!
やばいやばいやばい!! 次で終わる!? こんな簡単に2ポイント連取されるなんて!
「……アルマ先輩。休憩を取りませんか?」
「……え?」
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