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明るく翠に光る空間に、ポツリと一人立ち尽くす少女。
眼前に広がる光景は妖しく美しい深緑の世界、そして異質な人形(ひとかた)。
少女の手には古臭い本が抱かれている、大事そうにしっかりと細腕に抱かれた本にタイトルは無い、表紙には美しい大地と空が描かれているだけ。
それは、霞んでしまった空と、枯れてしまった大地に泣いた太古の文明が残した欠片。
少女は思う、かつて世界は美しかった。
そして願う、どうかもう一度残虐な天使から世界を取り戻してと。
世界の意思は利己的だ、しかしその意思と意思が共鳴すれば世界は人に力を与える、支配者に抗う大いなる力を。
「この時代になら存在しているかもしれない、統べる力を持つ者。偉大なる意思の方舟を先導する者」
寂しい空間に一人眺める世界の依り代は振り絞る言葉に意味を託して、再び大地を踏みしめるその足は希望と絶望を孕ませて…。
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