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周りを堅固な壁で囲まれた巨大都市"アルクレイア"街の真ん中に巨大な電脳樹"エルトゥス"が聳え立ち巨大な電信ネットワーク及びエネルギー供給源として機能している。
人類の天敵たる天使襲撃に備え対空防護システムも完備していて、この年は正に人類の安住の地である。
いつからかこの世界は天使が支配するようになった、いつからかは本当に曖昧であるが当時突如として現れて瞬く間に世界を蹂躙していったという。
しかしいつまでもやられるだけではない人類は少しずつだが確実に力をつけていった、いずれ来たる決戦のときのために。
ヴァルナス兵士育成学校。
ここにも様々な思いを胸に激しく厳しい訓練に励む者たちがいた。
「ったくヌルイ。訓練にもならねーじゃんよ、つまんねーの」
悪態をつきながら地に蹲る男を見下ろす目つきの悪い男、周りには少数だが人だかりができており成り行きを見守っている。
ただの喧嘩というには余りにも痛々しく、蹲っている男は全身傷だらけで冗談では済まされない程血にまみれている。
野次馬たちはというと特に悲鳴を上げるでもなく、別段気に止めることもなく詰まらなそうにそれを見ている様子だ。
それぞれ口々に文句を言ったり同情の言葉を並べたり、軽蔑した眼差しを向けたりしている。
しかし、誰も助けようとはしない。
触らぬ神に祟りなし、というよりむしろ弱者に興味など無いようだ。
「うぅぅ、もうやめろよ……ここまでするか……」
血まみれになりそう言った男にイラついたのか容赦なく蹴りを浴びせる、豪快に吹き飛んだ男は意識を失ったのか全く動かなくなった。
呆気ない終了に興ざめしたのか野次馬たちは散っていく、勝者である男もさもつまらんと言わんばかりにその場を立ち去っていった。
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